永世七冠とは?羽生善治の強さは衰え知らずでタイトル戦績がエグい

時事

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羽生善治


先日、永世七冠のラストピース(2015年に開設された叡王戦を除いて…)である永世竜王の称号を手にし、永世七冠となった棋士・羽生善治氏。

これまで何度か永世竜王に挑戦するもなかなか手が届かず、一方では衰えも見えてきたという話もちらほらささやかれていましたよね。

それだけにこのニュースは実にうれしいニュースです。

さて、ついに前人未到の永世七冠の資格を手に入れた羽生善治氏ですが、その強さの秘密はどこにあるのでしょうか。

また現在、羽生善治氏が、どれだけのタイトルを保持されているのかも気になります。

そのあたりを本記事で探っていこうと思います!

 

ついに永世七冠を達成した羽生善治

先日、プロ棋士の羽生善治氏が、念願とも言える七期目の竜王を獲得し、永世七冠の資格を得たというニュースが報道されましたよね。

筆者もそのニュースを見て衝撃を受けたのですが、多くの将棋ファンが、竜王は難しいだろうと感じていただけに、このニュースに驚いているはず…

というのも、この竜王に関しては、一度タイトルを失って以来、2度挑戦していますが、ことごとく渡辺明氏(九段)に敗れていたのです。

ちなみに、羽生善治氏が6度目の竜王から陥落した2003年以降の竜王は、ほぼ渡辺明氏が死守していたといっても過言ではありません。

2003年と2013年に森内俊之氏(九段)が、2014年に糸谷哲郎氏(八段)が、それぞれ竜王を獲得しただけ…

残りは全て渡辺明氏が獲得していたのです。

ほぼ完全に竜王を独擅場としていたわけですから、渡辺氏が引退でもしない限り、他者が入り込む余地はほぼないと見て良いのではと思えてならない…

それぐらい竜王戦では渡辺氏が猛威を奮っていたわけです。

ちなみに渡辺明氏は、過去に7大タイトルの中で永世タイトルを保持しているのは竜王と棋王の二つのみ…

タイトル奪取(または保持)回数も羽生善治氏の99期(歴代1位)に対して、渡辺明氏は19期。

圧倒的な差がそこに生じているのに、竜王戦に関しては渡辺氏に軍配が上がっていたわけです。

ここがタイトル戦の独特の難しさなのかもしれませんね。

ちなみにタイトル戦とはどういうものなのかと簡単に説明すると、競馬で言うところの桜花賞や菊花賞のようなものと考えれば分かりやすいかも…

つまり、将棋界を支えるスポンサーが用意した大会の一つがタイトルと呼んでいます。

朝日杯将棋オープン戦やNHK杯など、さまざまなタイトル戦が開催され、棋士たちはタイトルを奪うためしのぎを削っているわけ。

ただ、主要とされている七代タイトル戦は少しレギュレーションが異なります。

他の一般タイトル戦は多少シードなどのアドバンテージはあっても、タイトルホルダーに対する優遇はそれほどなく完全にトーナメントでの戦い…

それに比べて、七代タイトルは、タイトル保持者がディフェンディングとしてシードされ、挑戦者と対決して勝負を決します。

つまり、他の一般タイトル戦のように、トーナメントで挑戦者決定戦を行い、そこで優勝した1名と王座が戦うというシステムなんです。

だから、七代タイトルに関してはタイトルを保持できていればかなりのアドバンテージを受けられます。

ちなみにその七代タイトルは以下の7つ

  • 名人
  • 棋聖
  • 王位
  • 王座
  • 竜王
  • 王将
  • 棋王

以上が七代タイトルと呼ばれる7つのタイトル戦です。

なお、現在は2015年から始まった叡王が加わり八大タイトル戦と称されています。

ただ、まだ新しいタイトル戦で、タイトルホルダーも、山崎隆之氏(八段)と佐藤天彦氏(九段)の二人のみ(今年度はまだ決まっていません)。

そういったところもあって、格付け的には他の7タイトル戦よりやや劣っているという印象も受けます。

おそらく、永世七冠コンプリートと一部で言われているのも、そういった背景があるのかもしれませんね。

いずれにしてもこの叡王戦も時代とともに定着され、完全に主要八大タイトルとして認知されていくと思いますよ。

さて、話をもとに戻しますが、それにしてもあの渡辺氏から竜王戦で勝利するとは驚きです。

羽生氏自身、竜王戦のタイトルを失ってから今回で3回目の竜王戦挑戦(厳密には挑戦者決定トーナメントで挑戦権を得たのが3回)。

中でも、2008年の竜王戦では、渡辺氏に3連勝した後に4連敗を喫してタイトル奪取できず…

こんな屈辱を乗り越えながら、ようやく奪取するのが難しい竜王戦のタイトルを渡辺氏から奪い、7期目の竜王となり永世竜王の称号を得ました。

渡辺氏が一つのタイトルに特化したタイトルホルダーというと、多少語弊をまねくかもしれません。

でも、それくらい竜王戦では脅威な存在の彼に、3度目の戦いでようやく打ち破った羽生善治氏の強さには頭が下がる思いです。

後ほど、筆者の見解も交えながらその強さの秘密を探っていきますが、前人未到の永世七冠の称号を得て、今後ますます強くなっていくことでしょう。

まだまだ若いものには負けない羽生善治氏の将棋が見られることを、今後も願っています。

 

羽生善治の永世七冠と強さの秘密・神髄は?

先程お話ししたように、永世七冠とは、主要七大タイトル戦を勝利してきた猛者を象徴とする称号であることはなんとなく理解できたことと思います。

挑戦権を得るためのトーナメントに勝利し、さらに前王座と5番勝負(あるいは7番勝負)をして勝利して初めてタイトルが奪える…

そんな茨の道を、少なくとも5期連続(あるいは通算7期以上)保持しなくてはならないのです。

ちなみに、各タイトル戦の永世称号を受けるまでの条件がこちら

永世竜王:連続5期(または通算7期)
永世名人:通算5期
永世王位:連続5期(または通算10期)
名誉王座:連続5期(または通算10期)
永世棋王:連続5期
永世王将:通算10期
永世棋聖:通算5期

年間で各タイトル一人しか王座に立つことができませんし、そのことを考えると永世七冠がいかにすごいことなのか痛感させられます。

さて、そんな永世七冠を成し遂げた羽生善治氏ですが、一体彼のどこに強さの秘密があるのでしょうか。

さっそく筆者は羽生善治氏の強さの秘密・真髄を探ってみました。

・羽生善治の強さの秘密

筆者が彼の強さの秘密をいろいろ探っていく中で、まず感じたことは、駆け引きの上手さ・取捨選択の上手さにあったのではないかと感じました。

これは、あるインタビューによる羽生善治氏の言葉を総称して感じ取った話です。

実は、彼は、

「将棋はチェスと同じで、100%の力で指しても必ず勝てるものではなく、相手によって力の加減をして、時には20%位の力で指さないと勝てない」

と語っています。

基本的に将棋は、相手の大将(王将・玉将)を奪うゲームです。

極端に言えば、全力で敵に攻め込まれても、カウンターを仕掛け、相手のスキ突いて王将・玉将を奪えば勝利できるゲームなのです。

しかし、意外なことに素人で将棋の弱い人ほどそのことを忘れ、他のコマを奪うことばかりに思考を奪われがちです。

まるでコレクターのように相手の角行・飛車などの駒を奪い気がつけば、逆に大将が追い詰められ、勝負に負けてしまうのです。

もちろん角行や飛車など、飛び道具となる駒を奪い、有効に使うことができれば、戦局を大きく有利に進めることができます。

しかし、いくら戦局を有利に進めても、相手の王将(または玉将)を詰まさなければ勝利は訪れません。

それどころか、相手の王将・玉将に逃げられている間にスキを突かれて、逆に自陣に攻め込まれてしまったらそれで終わりです。

常に相手との駆け引きがそこには存在し、その駆け引きを制した者だけが勝利を得られるというのが、将棋に限らず勝負事に携わるものたちの神髄…

そのような意味として、羽生氏は語っていたのではないかと思います。

そして、彼自身、勝負において、何かを犠牲にして捨ててしまうことも辞さない覚悟を持っていた…

だからこそ、永世竜王というタイトルを奪取することができたのではないでしょうか。

後ほど羽生善治氏の保持タイトルについては話していきますが、彼が竜王というタイトルを奪取するまでの間、二つのタイトルを失いました。

王座戦は菅井竜也氏(七段)に、王位戦は中村太地氏(七段)に奪われています。

いずれも20代の若きプロ棋士で、話によると藤井聡太氏(四段)の公式戦29連勝に刺激を受けたのか、二人に危機感が芽生えたみたい…

そこで奮起した二人が、羽生氏からタイトルを一つずつ奪っていったと言われています。

まぁ、そのことは実に悲しい話ですが、羽生氏はそれも仕方ないと腹をくくり、竜王戦に全てをかけました。

その結果、彼は竜王というタイトルを手にすることができたわけです。

まさに目からウロコですよね。

何かを捨てることができるからこそ何かを得られるという話は、確かに一理あるのかもしれません。

とはいえ、このような話を語れるのは、彼自身がこれまでに並々ならぬ努力を重ねて栄光をつかんできているからで、軽々しく語れる話ではありません。

タイトルを奪取するまでの間、過去の棋譜なども研究し、実力を付けているからこそ言える話です。

間違っても何の実力もない素人に言えるコメントではありません。

日本将棋連盟などで、これまでのタイトル戦の棋譜が記録され保管されているそうです。

そのため、他のプロ棋士の手筋も研究することができ、プロを目指す(あるいはプロとして活躍している)棋士たちは、必ず棋譜の研究をしています。

そして、力のあるものの手筋から使えるものを吸収し、実力を上げています。

中には寝る間も惜しんで棋譜を研究されている人もいます。

さらに言えば、ごく一部に限られていますが、29歳でこの世を去られた天才棋士・村山聖九段(当時)のように命を削って将棋にかけている者も…

もちろん彼の場合は特殊なので、真似することはおすすめしません。

ただ、それほどの情熱を持って将棋に接するからこそ、状況に応じて取捨選択でき、また相手のどの力を利用するのか考えることができるのです。

もちろん、羽生氏が命を失っているということはありません。

ただ、将棋に掛ける情熱は村山聖九段と同じレベルかそれ以上…

そんな羽生氏が語るコメントだからこそ、その言葉の重みも違って見えます。

とくに将棋などの勝負事を仕事とされている方は、どんなジャンルであろうと駆け引きは超重要です。

そのことをあらためて教えられたような気がした次第です。

・羽生善治の将棋の強さの秘密が物語る神髄とは?

羽生善治氏の将棋の強さの秘密は、先程お話しした通り、自分の力だけを使うのではなく、相手の力も利用して、駆け引きを使うことにあります。

ただ、この秘密が物語る神髄は、単純に勝負事で勝てるための秘密で終わる話ではありません。

ここからはあくまで筆者の見解で述べさせていただきますが、彼が語った強さの秘密は、私たちの一般生活でも用いることができると考えています。

どうしても一人で何でもかんでもやっていくのは限界がありますよね。

長い人生を生きていくには、時に良い意味で他人の力を利用することが大切なのです。

例えば、流産を繰り返した妊婦がいたとします。

なかなか子供に恵まれない女性なら、その心情も理解していただけると思いますが、多くの妊婦は流産したことを自分の責任として責めてしまいます。

ひどい場合、あまりに自分を責めすぎてウツになってしまうなんてこともあるでしょう。

でも、それって、自分で全部責任持って子供を出産しなければならないと考えているから、それがうまくいかなかった時に、自分を責めてしまうのです。

しかし、この妊婦が、もう少し柔軟に考えを持ち、周囲の力をうまく活用できていれば、たとえ流産を繰り返したとしても、ウツになることはありません。

もちろん流産してしまったことに悲しみを受けることはありますが、周りのサポートを受けながら気持ちを切り替えることは可能。

そして、反省はしても自分だけを責め立てることはなく、

「次こそは…」

と願い、妊活を続けていくのです。

たしかに、妊娠は勝負事でも何でもなく、ただの生活の一部ですから、駆け引きなんてものは存在しません。

ましてや一方的に取捨選択を妊婦に求めるのはあまりにも酷です。

もちろん、何かしら生まれてくる子供のために、胎教に良くないことは我慢を強いられることもあると思います。

ただ、それと取捨選択は別問題…

筆者としては、あくまで前者の周りの力をうまく活用することが相通じているのだと考えています。

これはあくまで一つの事例に過ぎませんが、このように私たちが生きていく中で必要となる何かしらのヒントを与えてくれている…

羽生氏の語った強さの秘密の裏には、このような真実も隠されているのではないかと筆者は感じているわけです。

生きざまというのは、幼い頃から培われてきた性格なども影響を受けるものなので、簡単に変えることはできません。

しかし、柔軟な考え方を持つ一つのヒントになれたら、羽生善治氏がインタビューで答えた意味が出てくると思います。

人生、何かしらの壁にぶつかり行き詰まってしまう事はあると思います。

そんな時に、肩の力を抜くためのヒントとして、羽生善治氏が語った強さの秘密を思い出してみてください。

きっと少し心が楽になり、また前に進む一つのきっかけになると思いますよ。

 

羽生善治に衰え?保持タイトルは?

最後に、羽生善治氏が衰えているという話と、彼の持つ保持タイトルについて語っていきます。

まず、衰えの部分に関してですが、たしかに彼はかつて七冠全て総なめにしていたことがありましたし、若き頃と比較すると、やや見劣りする部分はあると思います。

そのためなのか、衰えているという風にも言われ続け、いつしか引退も近いとささやかれているみたいです。
ただし、彼自身がただ一方的に衰えているわけではありません。

藤井聡太四段を筆頭に、若い世代が奮起しているからこそ、その差が縮まっているにすぎないのです。

間違いなく将来世代交代は訪れていくことでしょう。

2003年・2007年・2011年に二冠に陥落してしまったことは確かにありますし、2017年も竜王戦を奪取したものの、王位戦・王座戦を落とし二冠。

このデータだけを見れば、劣化が進み引退も間近という見方は可能です。

ただし、羽生氏の場合、二冠に陥落した翌年何らかのタイトルを取り三冠以上のタイトルを保持されています。

また、今回の場合は、とにかく竜王戦に全てをかけていたところもあったとも語っていますし、永世七冠となりホッとできたはず。

これで心置きなく他のタイトルに向けて集中できると思いますし、きっと2018年は三冠以上のタイトルを保持できるでしょう。

まだまだ羽生善治氏には将棋界を牽引し、いずれ藤井聡太四段と対決してほしいと願う気持ちを込めて、衰えは少ないと筆者は考えています。

まぁ、まだ羽生善治氏も47歳ですし、衰えるには早いと思いますよ。

さて、もう一つの羽生善治氏の保持している七代タイトルですが、今回の竜王と棋聖の二つです。

果たしてこのタイトルを彼は保持し続けることができるのか、また奪われた王位・王座を含めて来年さらなるタイトルを奪取できるのか…

羽生善治永世七冠のさらなる奮起を願っています。

 

まとめ

羽生善治氏が永世七冠の称号を勝ち得たことは、前人未到の素晴らしい功績であることに違いありません。

しかし、その称号を受けるとともに失ったタイトルも二つあります。

一部で衰えがあるという話もささやかれていますが、それは、彼自身、王位・王座を犠牲にしてまで竜王を取りに行ったため…

今回は仕方ない部分もあると思います。

一方、羽生善治氏の語る強さの秘密には、わたしたちの人生の生き方にも相通じる周りの力を利用(助けてもらう)することの大切さもありました。

こんな大切なメッセージも伝えてくれている羽生氏だからこそ、ますます将棋界を牽引し、将来、藤井聡太四段と対決して勝利することを願っています。

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