
寒い冬が近づいてくる時期になると、おでんが恋しくなりますね。
おでんの種は、卵・はんぺん・ちくわ・大根などが人気になっているようで、関東も関西もあまり変わりありません。
しかし、一つだけ関東と関西で大きく違う所があります。
それは
ちくわぶ!
なのです。
関東では、かなりの人気アイテムなのですが、関西では絶不評。
不評というより、そもそも関西の人は『ちくわぶ』というものを知りません。
これには驚きましたね。
そこで今回は、ちくわぶについて、原材料やカロリー、関西で人気のない理由などをお話していきましょう。
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ちくわぶの原材料やカロリーは?
まず、ちくわぶとはなんぞや?
定義としては、ちくわぶ(竹輪麩)は、
小麦粉をこねたものを茹でた麩
である、とされています。
つまり魚肉から作られた物ではないのです。
これは意外でした。
名前が似ている『ちくわ』は、主として白身の魚から作られます。
かまぼこと同じですね。
しかし、一字よけいな『ぶ』がつくと、似て非なる小麦粉が原材料になってしまいます。
ほとんどの人は(筆者も)、ちくわと同じ魚肉からできている、と思っていたでしょう。
しかも関東ローカルで、関東以外では、そもそも全く売っていないとのこと。
このちくわぶの起源は、江戸の蒸しかまぼこの一種である『白竹輪』(しろちくわ)に似せて作られたそうです。
しかし、他の説(紀文による説)では、京生麩が原型で、精進料理の麩を参考にして関東で作られた、ということになっています。
もう一つ、第二次世界大戦直後の貧窮時代に、高価な魚のすり身を使う竹輪の代用品として、闇市で売られていた、という説もあります。
ちくわぶの起源として、どれが正しいのかは、今でも定説はないようですね。
ちくわぶの原材料は、
グルテンを多く含んだ強力粉(小麦粉)
です。
これに水と塩を加えて、よく錬り、その後、引き延ばしてからしばらく寝かせます。
そして、型に入れて高温でゆであげ、型から抜けばちくわぶの完成です。
ちくわぶの用途(レシピ)は、主としておでん用ですが、すき焼きや鍋物に入れたりすることもあります。
また、きな粉をまぶしたり、しるこなどの具としても、ちくわぶが使われることもあります。
なお、このレシピについては、後段で詳しく紹介します。
次にちくわぶのカロリーですが、外見と違い、意外に高カロリーなのです。
ちくわとちくわぶのカロリーを比較してみましょう。
- ちくわは、1本当たりおよそ30gで36kcal
- ちくわぶは、1本80gで137kcal
1グラムあたりのカロリーは、こうなります。
- 生ちくわ 1.2kcal
- ちくわぶ 1.7kcal
魚肉から作られたちくわより、小麦粉で作られたちくわぶは、約50%も高カロリーなのです。
これまた意外でしたね。
しかもちくわぶは糖度も高いので、ダイエットには不向きな食材と言えるでしょう。
要するに、ほとんどお餅と同じ、と考えてもよさそうですよ。
ちくわぶが関西で不人気の理由は?
ちくわぶが関西で不人気の理由には、まず関東と関西の味の好みが第一に挙げられます。
一口で言えば、
- 関西は薄味
- 関東は濃い味
ということになります。
関西の人は、関東の濃い味をバカにしていて、
「あれは田舎もんの味や!」
とか言っているようですよ。
昔、織田信長が戦で捕らえた敵方の武将が、料理の名人と言われていたことがありました。
敵の武将が命乞いをすると、織田信長は、
「その方は料理の名人だそうだが、わしの気に入るような料理を作ってみい。その味が気に入ったら、助けてやろう。」
と言ったといわれています。
そこでその武将は、張り切って料理を作りました。
なにせ、命がけの味ですから、張り切らざるをえませんよね。
しかし・・・
その料理を一口食べた織田信長は、
「まずいっ! 打ち首じゃあ!」
慌てた武将は
「すぐ作り直しますので、なにとぞ今一度のご猶予を!」
と願い、料理を作り直したのです。
すると、作り直した料理を味わった織田信長は、
「おお、美味じゃ!ならばその方を助けてつかわす。」
ということで、その武将は命拾いしたそうです。
この話の後日談として、その武将が後に語った言葉があります。
ふん・・・最初の味は京風の薄味に仕上げたのだが、信長めは田舎者だからその味がわからなかったのだ。
2度目の味は、関東風の濃い味にしたら、あやつは気に入ったようだ。
田舎者ということだな。
というように、上方の人は関東をバカにしているのです。(笑)
ただ、この逸話は、五味康裕の小説に出てくるものです。
なので、おそらくは五味康裕の創作であり、実話ではないと思われます。
もうひとつ、
くだらない
という言葉がありますが、これは昔上方の品々は上等とされていて、地方(関東など)に上方の品を送ると、その品は
くだりもの
と呼ばれていました。
つまり、『くだらない』という言葉は、『くだりものにならない』(上等でない)という意味なのです。
これは真実の話です。
念のため。
このように、関西と関東では好む味に大きな違いがあり、おでんにしても関西では『関東煮』(かんとうだき)と呼ばれます。
つまり、
「それおでんやない。関東煮や!」
ということなのです。
なお、関東の人は関西のおでんを『関西煮』とは決して言いません。
おでんのだしにしても、
- 関東は、濃い口醤油に砂糖を入れた甘辛味
- 関西は、薄口醤油と塩で味付けした、あっさりした薄味
と、まるで違います。
おでんの具にしても、関西では天ぷらや牛すじを入れますが、関東ではこれらの具はあまり使われないようです。
逆にちくわぶは、関西では使われない以前に、そもそもちくわぶなんてものが、この世にあることすら知りません。
「あんな粉みたいなもん、食えんわ!」
「ちくわぶの不安になるような不味さは異常、あんなものを食う関東人はマヌケや」
ということのようですね。
ちくわぶのレシピ
さて、このちくわぶですが、おでんに入れるだけでなく、色々な食べ方をされているようですね。
そのちくわぶレシピの中には、なんとも壮絶なレシピもあります。
ここではそのちくわぶレシピのいくつかを紹介してみます。
壮絶なちくわぶのレシピ
ちくわぶとさつま揚げの煮物
材料: ちくわぶ、さつま揚げ、水、和風だしのもと、料理酒、みりん、醤油、砂糖
これは『比較的』無難な食べ方のようです。
ちくわぶとさつま揚げならよく合うでしょうね。
ちくわぶのすき焼き
これもまず安全なようです。
すき焼きならおおよそどんな具でも、だいたい合います。
一口味わった途端悶絶する、ということはないと思います。
多分…。
ちくわぶのきな粉がけ
材料: ちくわぶ、きな粉、お砂糖
ちくわぶにきなこ・・・
だいぶ怪しくになってきました。
いったい、どんな味になるのやら、不安です。
ちくわぶの味噌煮込み風
材料: ちくわぶ、味噌、みりん、醤油、砂糖、水
ちくわぶの田楽風の煮込みです。
…。
そろそろヤバくなってきましたね。
はたして、ちくわぶとミソが合うのかどうか。
ちくわぶの肉巻き
材料: ちくわぶ、豚肉薄切り、しょうゆ、酒、みりん、砂糖、水、にんにくすりおろし
いよいよ、奇絶怪絶また壮絶なちくわぶのレシピが、真の素顔を表し始めました。
ちくわぶで肉を巻くという発想と、ニンニクの取り合わせ…。
ちくわぶのチーズボール
材料: ちくわぶ、とけるチーズ、塩昆布、上新粉、油
ちくわぶとチーズ、それに塩昆布…。
恐怖の取り合わせです。
ちくわぶのケチャップ炒め
材料: ちくわぶ、鶏胸肉、マッシュルーム、エリンギ、ズッキーニ、鶏ガラスープの素(顆粒)、塩
出ました!
ちくわぶレシピの横綱登場です。
おぞましさが想像できます。
想像はできますが、我慢はできません。
ということで、ちくわぶのレシピを探したのですが、ちくわぶのケチャップ炒めまできて、
「もう持たん…」
で中断しました。
これらを味わおうとは、毛頭思いません。
実際にこのレシピを試す場合には、覚悟を決めてお試しください。
まとめ
今回は、ちくわぶの原材料やカロリーや、ちくわぶが関西で不人気の理由などを探ってみました。
関東と関西では、好ましい味覚そのものが、ずいぶんと異なっています。
おおまかに言って、関東は濃い味、関西では薄味が好まれています。
ちくわぶは、関西では好き嫌い以前に、そんな食べ物があることさえ、ほとんど知られていないのです。
それにもう一つ、ちくわぶの壮絶なレシピも調べてみましたが、これをそのまま試す人が現れないことを祈るばかりです。
以上、『ちくわぶの原材料やカロリーは?関西で不人気の理由を考察!』でした。