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村上春樹のおすすめ小説作品とノーベル文学賞を取れない理由を考察

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2017年10月5日、2017年度のノーベル文学賞の発表がありました。

昨年の授賞者は、小説や詩の作者ではなく、音楽家のボブ・ディラン氏という意外なことになりました。

結局、2017年は日系イギリス人の作家カズオ・イシグロ氏でしたので、これはまあ予想の範囲内でしたね。

ただ、このところ毎年のようにノーベル文学賞のノミネートされている村上春樹氏は、今回もまた授賞を逃しました。

村上春樹氏の小説作品は海外でも広く読まれ、また大学などの教材にもなり、国際的知名度は非常に高いです。

それなのに、なぜ毎年ノーベル文学賞の授賞を逸し続けるのでしょうか。

村上春樹氏は、なぜ今回もまたノーベル文学賞を取れなかったのか、その理由を考察し、おすすめ小説作品もあわせて見てみましょう。

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村上春樹がノーベル文学賞を取れない理由は?

上の画像は『誤報』です!

まず最初に、ノーベル文学賞の候補者(ノミネートされた人)の名前は、選考の当事者であるスウェーデン・アカデミーからは、

一切公表されない

のです。

候補者として挙げられているのは、評論家や欧米のブックメーカー(賭けの胴元)によるものであり、公式のノーベル賞の候補者ではありません。

つまり単なる予想や賭け率の材料ということになります。

この点を踏まえて、なぜ村上春樹氏はノーベル文学賞を取れないのか、その理由を考察してみました。

 

この授賞できない理由はいくつか考えられます。

その一つがノーベル文学賞の選考基準(条件・要件)です。

ノーベル文学賞の授賞要件は、

「理想主義的傾向のもっとも注目すべき文学作品の著者に贈る」

という要件です。

これはノーベル賞の創始者である、アルフレッド・ノーベルの遺言にそのように書かれているそうですね。

この『理想主義的傾向』という言葉はあやふやですが、例をあげれば、トルストイやロマン・ロランの作品がその代表でしょう。

日常生活の哀感や卑俗な事象の描写などよりも、理想を高く掲げ、精神の高所を目指すという内容ですね。

たとえば、現代の社会を見つめる社会性のある作品や、あるいは強力な政治と対決する作品などが、その例でしょう。

また、商業主義的な傾向の強い作品は、当然忌避されます。

つまり日本式にいえば、

純文学

がノーベル文学賞の対象ということです。

日本人の作家で、上の条件に合致するのは、三島由紀夫や安部公房がありますが、いずれも故人となっています。

彼らもノーベル文学賞の候補と言われていましたが、ついに生前に授賞することはありませんでした。

筆者から見れば、大江健三郎氏などよりは安部公房の方が、遙かに授賞に値すると思いますが、これは個人的意見に過ぎません。

それはともかく、村上春樹氏の小説作品は純文学系としては、異例に人気があり、国内外を問わず広く読まれています。

とくに日本内外での知名度や人気は、カズオ・イシグロ氏より、村上春樹氏の方がだいぶ高いのではないでしょうか。

では、なぜ村上春樹氏の小説作品が一般に好まれるのか、それはやはり

読みやすい

という点が最大の理由でしょう。

大衆性が高い、あるいは軽いともいえますね。

ただ、この大衆性や軽さは、スウェーデン・アカデミーが好む方向性とは相容れません。

それはこれまでのノーベル文学賞の授賞者を見ても明らかです。

ノーベル文学賞は直木賞とは違うのです。

むろん、これは賞としての価値が、ノーベル文学賞の方が直木賞より高いという意味ではありません。

賞としての方向性・目標がまるで違うのですから、同列の比較などできるわけがありません。

結局、村上春樹氏がノーベル文学賞を逃し続けているのは、

氏の作品群がノーベル文学賞の目指す内容と、乖離している点

に尽きると思います。

 

村上春樹のおすすめ小説作品は?

この種の『おすすめ小説作品』となりますと、どうしても個人の好みが強く出てしまいます。

今回の村上春樹氏のおすすめ小説作品もその例に漏れず、筆者の個人的好みが大きく影響していますので、その点はご容赦を。

村上春樹氏のデビュー作は1979年の『風の歌を聴け』でした。

その後『ノルウェイの森』がベストセラーとなり、また『海辺のカフカ』がカフカ賞も授賞しました。

そして、『1Q84』や『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』などの話題作を次々に発表しています。

以下、独断と偏見による、村上春樹氏作品の上位トップ10のおすすめリストとなります。

  1. 1Q84 (新潮文庫)
  2. 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド (新潮文庫)
  3. 海辺のカフカ (新潮文庫)
  4. ねじまき鳥クロニクル (新潮文庫)
  5. 1973年のピンボール (講談社文庫)
  6. 羊をめぐる冒険 (講談社文庫)
  7. 東京奇譚集 (新潮文庫)
  8. ノルウェイの森 (講談社文庫)
  9. 風の歌を聴け (講談社文庫)
  10. スプートニクの恋人 (講談社文庫)

それではこのリストの作品の、簡単な紹介をしましょう。

村上春樹おすすめ1位 1Q84 (新潮文庫)

これは村上春樹氏の最高傑作だと思いますね。

平穏無事の生活と、それとはまるで異なる世界。

かくあった世界と、そのようにならざる世界、それが交錯し、世界が存在するための秩序が崩壊していく。

舞台は1984年の東京。

主人公は少女・青豆と少年・天吾ですが、成人した彼は、『1Q84』と彼女が呼ぶ異世界に入り込んでしまいます。

この1Q84は『1きゅう84』でもあり、SFの名作ジョージ・オーウェルの『1984』がネタもとです。

『1984』はおなじディストピア(反ユートピア)小説である、オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』などと同じく、

近未来の全体主義国家による政治的な恐怖

を描いています。

この『1Q84』の売上げは、なんと発売4日間で75万部を超えたと言われています。

これは純文学系の作品としては希有のことで、『海辺のカフカ』の売り上げが6年で75万部ということを考えると、空前の大ヒットと言えるでしょう。

海外でも30ヵ国以上で刊行され、村上春樹氏の代名詞的名作となっています。

村上春樹おすすめ2位 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド (新潮文庫)

これもSFの範疇にも入れられる異色の問題作です。

まず主人公の職業が『計算士』という、妙な名称です。

仕事の内容は暗号の作成と解読なのですが、一体何を『計算』するのか、説明もないまま、老博士から『シャッフリング』を行なえと言われます。

これは潜在意識を利用した数値変換技術で、主人公にしかできない技術なのです。

一方、主人公の属する組織と対立する『工場』という組織もあり、暗号の作成と解読を競い合っています。

主人公の一人称は『私』ですが、もう一人の主人公は『僕』なのです。

この『僕』は周囲を高い塀でかこまれた『世界の終わり』に住んでいます。

こうして二人の主人公の世界が、交錯し入り交じり、物語が進んでいきます。

不可思議感と非日常感が溢れる、異色作ですが、内容的には最高クラスの面白さです。

村上春樹おすすめ3位 海辺のカフカ (新潮文庫)

この小説作品でも二人の主人公が登場します。

一人は15歳の少年・田村カフカですが、彼には母親はいません。

父親は高名な彫刻家ですが、猫を倒すのが好きという恐ろしい趣味があります。

そんなある日、父親に、

「母と交わり父の命を奪い、姉とも交わる」

という呪いをかけられて家出し、四国の高松に逃げます。

もう一人の主人公はナカタさんという初老の男性で、知的障害がありますが、猫探しが特技なのです。

彼は以前話題になっていた猫倒しの命を奪い、東京を離れました。

この猫倒しがカフカの父親だったわけですが、カフカが家にいないため父の命を奪ったという疑いをかけられてしまいます。

この作品はギリシャ悲劇のエディプス王の物語と、『源氏物語』『雨月物語』がネタになっているようです。

村上春樹おすすめ4位 ねじまき鳥クロニクル (新潮文庫)

村上作品には珍しく(でもないか)、戦争がテーマになっています。

悪に対しては暴力的に立ち向かっていくというスタイルは、これまであまりなかったものですね。

作中にはねじ緩め鳥やねじまき鳥という、奇妙な存在が出て来ますが、この正体や存在の意味はなになのか、不思議感覚あふれる作品となっています。

主人公は法律事務所で事務職をしていたのですが、仕事を辞めて『主夫』になったのです。

しかし、妻の妻のクミコは突然失踪してしまいます。

この小説作品は、時間軸が現代・第二次大戦時と変わり、登場人物の数も多いので、かなり錯綜した印象が残ります。

村上春樹おすすめ5位 1973年のピンボール (講談社文庫)

1970年代、主人公の『僕』はピンボールに熱中するようになりました。

アルバイトの収入の大半をピンボールに注ぎ込み、あらゆるテクニックを習得したのです。

そして、いつしかそのピンボール台と会話さえするようになった…。

ところが突然、そのゲームセンターはなくなってしまいます。

主人公は東京中のゲームセンターを探し歩き、やがて出会ったのは…。

ほろ苦くて、ちょっと甘酸っぱい青春小説です。

村上春樹おすすめ6位 羊をめぐる冒険 (講談社文庫)

『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『ダンス・ダンス・ダンス』と続く、青春三部作の第2作にあたります。

主人公は冒頭で妻と離婚しますが、本来は理性的で全ての行動が慎重です。

しかし、なぜかそんな主人公が、突然『羊をめぐる冒険』に出かけてしまいます…。

この小説作品に登場する女性たちは、それぞれ他の村上作品で登場するヒロインなのです。

直子という女性は昔の恋人なのですが、とあることがあって亡くなっています。

この女性が登場するのが大ヒット作、『ノルウェイの森』。

もう一人、そして耳の女の子は、『ダンス・ダンス・ダンス』で『キキ』として登場します。

このように他の作品に登場する人物の名前が、この作品で明らかになっています。

村上春樹おすすめ7位 東京奇譚集 (新潮文庫)

長編作家である村上春樹氏としては、珍しく短編集なのです。

『品川猿』、『日々移動する腎臓のかたちをした石』など、タイトルからして不思議感覚満杯です。

自由に動き回る腎臓の形をした石や、人の名前を盗んでしまう猿など、かわった設定の世界が書かれています。

ムラカミワールドの重量感溢れる長編に疲れた読者をいやしてくれるでしょう。

村上春樹おすすめ8位 ノルウェイの森 (講談社文庫)

村上春樹氏の代表作の一つですが、筆者の好みからは外れています。

なので紹介は簡単に止めます。

1987年の発表ですが、上下巻合わせて1000万部を売る大ベストセラーとなり、村上春樹氏が一躍有名作家となった、記念碑的作品です。

空港に到着した主人公に耳に、ビートルズの『ノルウェイの森』が聞こえ、それをきっかけに過去の切ない想い出が…。

村上春樹おすすめ9位 風の歌を聴け (講談社文庫)

1979年発表のデビュー作です。

青春三部作の第1作として、後の作品群の基礎・原点ともなった小説です。

他の2作とも共通する、ほろ苦い恋愛の味がこの頃からよく出ていますね。

村上春樹おすすめ10位 スプートニクの恋人 (講談社文庫)

こちらはほろ苦いというより、かなり濃い苦い味の愛となっています。

これは性的少数者の物語ですが、激しくまた破壊的な愛が描かれています。

村上春樹氏の小説作品としては、かなり変わった感覚の小説です。

 

まとめ

2017年も村上春樹氏はノーベル文学賞受賞を逃しましたね。

これはやはり、ノーベル文学賞の目指す理念と要件が、村上春樹氏の作品とは合致しないということなのでしょう。

村上春樹氏の作品は、必ずしも理想主義的傾向とは言えないので、それが理由かと思われます。

おすすめの小説作品を見ても、その傾向は確かにあると思えます。

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