
その延長線上として、一つ間違えば大きく戦局が変わっていくような場面で、神のお告げと称されたクジを引いて指針を照らしてきた…
それが、おみくじのルーツと言われています。
また、いまの形式のおみくじが世に定着し始めたのは、平安時代のころの話…
この頃の天台宗の僧侶・元三大師(がんざんたいし)良源が創った物が始まりと言われています。
当時は、1~100までの番号が記された串を箱に入れて、小さい穴から1本取り出して吉凶を占っていたとされたそうですよ。
そういえば、今でもその名残りとも言えるおみくじはありますよね。
大きな木のボックスを振って、小さな穴から串上のクジを引いて、結果を占うタイプのくじ引きが、まさにそれ!
筆者は、てっきり宝くじのルーツと同じように江戸時代にルーツがあるのかと考えていたのですが、実はもっと前からそのルーツはあったんですね。
さて、おみくじが、神のお告げとも言うべき神聖なものであることはわかりました。
でも、それなら『神のお告げ』といえばいいものを、なぜ『おみくじ』と呼ばれるようになったのでしょうか?
それにはちゃんとした意味があります。
先程もお話ししたように、串状のものを引いて吉凶を占っていたということから、クジと訛って呼称されるようになりました。
そして、この「クジ」が、より経緯を払っておみくじと呼ばれ始めたのです。
おみくじを漢字で書くと『御御籤』となります。
これは、クジに対して二重に敬意を払った言葉として、頭に「御」の字を2ついれたことが由来とされています。
つまり、神のお告げとして神聖化されていたクジに対して、より敬意を払った民人達の気持が、「おみくじ」と呼ばれるルーツとなったというわけ。
ちなみに、神社で引くおみくじは「御神籤」と表記され、お寺で引くおみくじは「御仏籤」と表記されているなんて話もあります。
神社は神を祀っているところですし、お寺は仏を祀っているところなので、それぞれの象徴を二つ目の「御」の時の代わりに当てているのでしょう。
近年では、ただの吉凶の占いに使われているに過ぎませんが、神聖なものであることを知ると、軽率に扱ってはいけないものだとわかりますよね。
さて、そんな御御籤が、なぜ初詣に出かけた際に引かれているのか…
それにはいろんな要因が考えられます。
一つは、平安時代から用いられたおみくじを、江戸時代に、徳川家康に仕えた僧侶の南光坊天海が広めたことがきっかけとなった説。
そして、もう一つは、その年をどのように過ごせば平穏で幸せに暮らせるのか、民人達が、神のお告げとして求めていたという説があります。
庶民へと拡散したきっかけは江戸時代にあったものの、おみくじがもたらす意味そのものは、古代の頃から変わりないのですね。
ここまで解説したことで、なんとなくおみくじの意味は理解できたのではないかと思います。
そこで、もう少し掘り下げて、おみくじの役割やマナーについても紹介していきたいと思います。
基本的に、みなさんは占いとして、おみくじを引いているかと思いますが、基本的に、占いの要素はそれほどありません。
あくまで、今年一年の指針を示すに過ぎないのです。
大吉やら大凶といった結果は、その指針を端的に運勢として象っているに過ぎません。
大吉であろうが、大凶であろうが、どのような過ごし方をすれば良いのかというアドバイスが書かれている…
それがおみくじの本来の役割(意味)なのです。
また、マナーと言うほどでもないのかもしれませんが、基本おみくじは参拝後に引くのがマナーとされています。
これは、おみくじが神のお告げであるということにもつながっています。
基本的に、神社・お寺という場所は、神に感謝しお礼参りする場所であり、お願い事をする場所ではありません。
それなのに、いきなり運勢を占うというのは、挨拶もなしに何かを求めて横暴な態度を取っているのと同じこと!
そんな人に対して、いくら神様・仏様といえど、何かしてあげたいと思うことはありえません。
これまでの一年に対する感謝や、今年一年の抱負や目標を語ってお参りした人にだけ、一年の過ごし方の指針を、神様や仏様が示してくれるのです。
つまり、参拝後におみくじを引いて、初めてその御利益があるというわけ。
おみくじの意味が分かれば、このマナーの意味も当然理解できるはずなので、しっかりマナーを守り、おみくじを引くようにしてみてくださいね。
きっと、神様にもその姿勢は届き、いいアドバイスがいただけると思いますよ。
おみくじを引いた後は結ぶ?持ち帰る?
さて、初詣をしたあとで、多くの人はおみくじを引いていますが、その引いたおみくじはどうされていますか?
意外と、何も考えずにしばらく財布に入れて、気がついたらレシートと一緒に捨ててしまったなんて人が多いのではないでしょうか。
実はおみくじを木に結んだり、財布に入れて肌みなさず持ち歩くことにも、明確な意味があります。
おみくじを木に結ぶのは、あくまで、凶や大凶を引いてしまった時だけです。
主な目的は、その厄をおとして良い運気に変えてもらうことと、神社・お寺に守ってもらうことの二つ!
昔から神社仏閣は神聖な場所と認知され続けています。
そんな神聖な場所だからこそ、災厄から多くの人たちを守ってくれるとされてきた…
そして、いつしか、おみくじで悪い指針が示された時、その災厄から守ってもらうために、神社・お寺の木々にそのおみくじを結んで置いて帰ってきた…
神社・お寺の木々に、おみくじを結び置いて帰ってきた背景には、そういう意味があったのです。
一方、大吉が出た場合は、その逆で、肌身離さず持参し、神のお告げに守られながら、一年を過ごしたいと考えられてきた…
その表れとして、財布にいれて、肌身離さず持ち歩くようにしている人が多いというわけ。
おみくじを木に結び置いて帰ることも、おみくじを持ち帰り大切に肌身離さず所持し続けていくのも、それぞれ明確な意味があります。
それだけに、くれぐれも間違った扱いをしないよう心がけましょうね。
ちなみに、近年は、多くのおみくじを木に結ぶことで、木が傷んでしまうことを避けるために、
「みくじ掛け」
という、木の保護を目的とした、おみくじを結ばための専用の場所が、神社・お寺で用意されているところもあります。
そういう場所では、木ではなく、みくじ掛けに結ぶように心がけ、おみくじを引く時のマナーを守りましょう。
おみくじの効果・有効期間はいつまで?
おみくじの意味や取り扱いについて、だいたいのことは、ここまでの話で理解できたと思います。