
このグリーンカードは、イエローカードやレッドカードのように、プレーを一時中断する必要は必ずしもありません。
一連のプレーが終了した後で、当該選手に掲示(贈呈)してもかまいません。
このグリーンカードの贈呈対象となるプレーは、たとえば相手とぶつかり相手が倒れた時など、それが反則であろうとなかろうと、
相手を配慮し謝罪する、あるいは引き起こして怪我への気配りをする
などの行為が基準になります。
他の例では、自チームのボールがラインを越えたり、審判が見逃した
自チームの不利になる反則などの行為を、自己申告したりする場合
も、このグリーンカード提示に該当します。
また、チームが大差で負けている時でも、決して試合をあきらめず、味方の選手をはげまし、最後まで全力を尽くしてプレーする。
さらには試合中に敵味方で揉めている時などには、その仲裁をするなど。
フェアプレーやスポーツマンシップにのっとったプレーに対して、このグリーンカードが提示される。
のです。
また、審判に対しては、グリーンカード提示の際には、簡単な状況説明や、褒め言葉や、笑いかけたりするアクションなどが、求められています。
このあたりは、やはり当初はグリーンカードが、あくまで少年サッカーを対象に考えていたいたことが、わかるところですね。
また、このグリーンカードには、イエローカードやレッドカードのような、累積の扱いはありません。
サッカーのグリーンカードの意味と意義をチェック!
JFAとJリーグでは、2008年から、サッカーにおけるリスペクトの重要性を認識するための、
『リスペクトプロジェクト』
を始めました。
このリスペクトとは、社会におけるスポーツの役割を自覚し、常に全力を尽くしてプレーすることです。
そして、それはスポーツにおけるフェアプレーの原点であるとしています。
リスペクトの対象は、
自分達の仲間、対戦相手、審判、指導者、大会関係者、サポーターなどの人たちはもちろんのこと、用具、施設、競技規則
など、サッカーに関わるあらゆることに及びます。
これらの人や、ものを『大切に思うこと』が、サッカーにおけるリスペクトだというわけなのです。
『フェアで強い日本を目指す』
これがリスペクトプロジェクトの目的ですが、それが実現すれば、日本のサッカーは強さとはまた別に、世界から尊敬される存在になるでしょう。
既に、女子サッカーのなでしこジャパンは、ワールドカップ優勝の栄誉と、フェアプレー賞を両方とも受けているのです。
この延長線上にグリーンカードのシステムがあるわけですね。
サッカーのグリーンカードの具体例
サッカーのイエローカードやレッドカードって、実は審判の自前らしいのです。
時折、審判員の人が「どこそこでカードを購入したら・・・」などというメッセージを残していますので、どうやら自前ということらしいですよ。
そのグリーンカードは、選手の行動を見て審判が、
『フェアプレーの精神と相手へのリスペクトが感じられる』
と判断した際には、このグリーンカードを提示(または提供)します。
費用のことはともかくとして、実際の試合では、どのようなシーンでグリーンカードが提示されるのか、具体例を見ていきましょう。
グリーンカードを出す状況としては、
- 負傷した選手へのいたわりなどの対応
- 自分に不利になる場合でも自己申告した
- 試合中の揉めごとなどの抑止や制止
- スポーツ選手として精一杯頑張った時
- その他フェアプレーの精神と相手へのリスペクトがとくに認められた場合
などが考えられます。
以下その実際の具体例をあげてみましょう。
グリーンカード提示の実例
相手の体当たりして倒してしまったが、手を貸して起こしてやり、謝った。
その結果、相手も握手に応じてくれたそうですよ。
自分のファウルで相手が倒れ、痛がっていた時、まだそれに気がつかない審判にアピールした。
これは怪我の悪化を未然に防いだということからでしょうね。
チームメイトが相手選手と怒鳴りあった時、その選手をなだめて引き離した。
その結果、チーム同士の乱闘を未然に阻止したのです。
キーパーの靴紐がほどけてしまった時、結んであげた。
キーパーは手袋をしているので、手袋を脱がないと紐は結べません。
スムーズな試合進行にも役だったことでしょう。
試合終了間際に、味方が蹴ったボールがピッチの外に出た。走っていってそのボールを拾い、相手に渡した。
残り時間が少なくなった場合には、えてして遅延行為に走りがち。
しかし、勝っている状態でもそのようにしたのは、立派ですね。
問題となるような行動を起こしそうな味方選手を事前に制止した
相手の反則で熱くなっている味方選手に、
「落ち着け!冷静になれよ!」
となだめて落ちつかせ、チーム同士の乱闘を未然に防いだそうです。
個々の選手ではなく、チーム全体にグリーンカードが提示された例
暑い時期の試合で、中心選手が疲れきっていた。
彼の交替はチームには痛いが、その選手の体調を考え直ちに交替したが、残りの選手も彼の分も頑張ってプレーした。
ということです。
まとめ
今回は、サッカーでのグリーンカードとはどのようなカードなのか、その意味はどんなものなのか、それに具体例などを見てきました。
このグリーンカード制度は、当初は少年サッカーでのフェアプレーを奨励するためのものでした。
しかし、現在ではイタリア2部リーグのセリエBなどでも行われるようになってきました。
また、JFAとJリーグでは、2008年から、サッカーにおけるリスペクトの重要性を認識するための、
『リスペクトプロジェクト』
を始めたのですが、人や、ものを『大切に思うこと』が、このグリーンカード制度にも繋がっているみたいですね。
このグリーンカード制度が、この先、大人のサッカーでも、一般的に行われるようになるのかは不明です。